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地元、妙蓮寺をデザインの力で面白く〈デザイナー 伊従 史子〉(後編)

人物百景、第11話は、
当サイトのロゴデザイン等を担当している、妙蓮寺在住のグラフィックデザイナー伊従 史子さん。

名前伊従 史子(イヨリ フミコ)
プロフィール:新宿生まれ 菊名育ち(悪そうな人は、だいたい友達ではない)

都内のデザイン会社勤務後、フリーランスのデザイナーとして活動開始。
地元の本屋 石堂書店を活性化を目的とした「まちの本屋リノベーションプロジェクト」や、本サイト「菊名池古民家放送局」のデザインを担当。

現在は、石堂書店の姉妹店 「本屋・生活綴方」の店番をしながら、仏像、旅行、銭湯、ローカルなど、独自のカルチャーを探求中。

〈聞き手=酒井〉

前編はこちらから

ずっと嫌いだった妙蓮寺

酒井:「いつ頃から妙蓮寺で活動されているんですか?」

「会社がリモート勤務になった期間が2~3年あって、その期間に、地元妙蓮寺で過ごす時間が多くなったことを機に、

ずっと嫌いだったんですけど、そこからなんとなく妙蓮寺の面白さに気づき始めたんです。

元々、デザイン事務所にいた頃、その地域でしかみない新聞を作成したり、地域をアートでつなぐプロジェクトのデザインや、地方ミュージアムのブランディングとか、ローカルな仕事もしていたんです。

『私が暮らしている地域の繋がりってなんだろう?』と。ローカルでの暮らし方や方向性に興味を持ち始めて、

妙蓮寺が面白かったらいいんじゃない?妙蓮寺にこういうのがあったらおもしろいんじゃない?

と考え始めるようになりました。

綴方のDIY作業中の伊従さん

そんな時に、現在「生活綴方」の監修を行っている三輪舎の中岡さんの、
本にバーコードを貼る作業を一緒にやりませんか!”というツイートを見かけて、面白そうだったので参加してみました。

そこで、中岡さんの自宅兼オフィスでシール貼りをしたのが妙蓮寺ローカル活動の始まりかもしれません。

そこから『まちの本屋リノベーションプロジェクト(MRP)』の定例会に参加するようになり、

クラウドファンディングをはじめとした活動にデザイナーとして参加しながら、なんとなくの流れで独立していました。

ひとりになったことで増えた繋がり

酒井:「実際、独立してよかったことは?」

 

「 何より、時間が自由で、 好きな時に好きなところにいけて、パソコンがあればどこでも仕事場になること。

あとは、仕事の幅が広がりましたし、圧倒的に人とのつながりが増えたことがよかったです。

知人から「再就職どうするの」とか聞かれて、私も聞かれる度に色々悩んだりしてたんですけど、先のことは悩んで当たり前なので、

 
 
 

“悩んでてもいいや”
 
 

 

て、思えるようになって、

もともと私は独立心があったわけではなく、独立の夢も持っていませんでしたが、やれるところまで、一人でやってみようかな、と思っています。

フリーランスの面白さが、ちょっとずつわかるようになってきたので。

酒井:「逆に大変なことは?」

 

全部自分で管理しないといけない事です。

苦手な部分、出来る部分が、少しずつわかるようになって、自分と向き合わないといけない場面が増えました

小さな見積りひとつでも、自分で決めないといけないから、難しいなと感じることもありますが、

独立したことで、同じフリーランスの方で共感してくれる方や、アドバイスしてくれる方ができたのは、有難いですね。

 

小さな夢はかなえられる

酒井:「菊名池古民家放送局のデザインは、どんな仕事でしたか?」

ロゴラフ画

「ずっと妙蓮寺周辺のメディアがないなと思ってたので、自分もよく利用する3駅だし、関われることが嬉しかったです。

放送局”という名前が決まっていたので、放送局らしいアンテナちゃん(仮)を書いたらいいね、っていうアイデアが出て、そこからデザインをまとめていきました。

ラフ画。はじまりは手書きの線画から。

菊名・妙蓮寺・白楽を行き来する、ここに暮らす人たちの動きを表現できればと思って、イラストもラーメンや銭湯マークに足をつけて、まちを歩いているビジュアルにしたくて、3駅間を移動している姿を表現してみました。

 

あと、最近気づいたんですけど、
小さいころ本屋さんになりたかった夢とか、美大に行きたいとか、ローカルなものに携わりたいとか、

想像していたものと形は違うけど、『自分のやりたいことを叶えている』ことに気付いて、

 
 
 
“小さな夢は意外とかなえられる”
 
 

 

と思えるようになりました。ただ、それは、何より家族や友人知人たちの支えがあってこそ成り立っていることにも気付きました。

妙蓮寺に表現できる場を

酒井:「今後の夢はありますか?」

 

妙蓮寺に『表現する場』を作りたいです。

ここ数年、妙蓮寺を拠点として動くようになって、少し前まで都会じゃないと出来ないと思っていたことが、妙蓮寺でも出来るって気づいたんです。

自宅じゃない所で、
誰でも使ってよくて、
誰もが表現している場みたいな。

私も自分のことはうまく表現できないけれど
人のことだったら、おせっかいできるような気がして(笑)

『本を作れるよ』とか
『絵をかけるよ』とか、

『なにか表現したい人』を応援していきたいです。

編集後記

彼女が今興味を持っていることは、

 

このまちに誰かの居場所、余地をつくること

実は今、本屋・生活綴方を月一回、夜22時まで開ける「夜の本屋」を実験中だという。

彼女自身が、仕事を終えて帰ってくると
店が閉まり暗くなった妙蓮寺のまちを歩いてきた経験から、

「夜でも本屋さんが空いていて、一杯飲めるような空間があったら面白いのでは」
と考えたのが始まりなんだとか。

 

誰かの場を作ることは、
結果、人と人とのつながりをつくりだし、
彼女自身の居場所にもなる。と話してくれた。

 

彼女の根本にある想いは、

自分が住んでいるまちのこと、嫌いって言いたくない』ということ。

足りないと感じるものは自分の力でつくれるということを、
実行し続けている彼女が描くこれからの妙蓮寺が、私はとても楽しみだ。

デザイナー 伊従史子
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